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薄毛を改善しようとするとき、なぜ薄毛が引き起こされたのかという原因を知ることは大切です。
原因がしっかりと究明できれば対策もたてやすいはずです。
ところで、薄毛が母親から遺伝している可能性があるということをご存じでしょうか?
遺伝により薄毛が引き起こされるメカニズムについてご紹介します。
遺伝による薄毛の特徴
「男の子は母親に似る」という言葉もあるように、男性は母親の遺伝子を濃く受け継ぐ可能性が高い特徴があります。 薄毛の原因は人によって様々であるため、必ずしも遺伝だけが影響しているわけではありませんが、男性型脱毛症(AGA)と呼ばれる脱毛症の原因も遺伝子に深くかかわっていることがわかっています。 男性型脱毛症は男性の薄毛の症状でもっとも多いといわれており、全国に1000万人以上の患者がいるといわれています。 男性型脱毛症の特徴は、思春期以降の成人男性に多く引き起こされ、髪の生え際や頭のてっぺん部分の毛髪が徐々に失われ、薄毛になっていく点です。 生え際と頭頂部のどちらも同時に進行するパターンや、どちらか一方だけが進行したりといった様々なパターンに分類できます。
薄毛を引き起こすホルモンとは
男性ホルモンの「テストステロン」が、酵素の影響を受けて変異した物質を「ジヒドロテストステロン(DHT)」と呼びます。 DHTは、薄毛を進行させるだけでなく体毛を増加させたり前立腺を肥大させることがわかっています。 DHTの元となるテストステロンの分泌をおさえることができれば薄毛が拡大しないと思ってしまいがちですが、男性が健康的に生きていくために男性ホルモンは欠かせないものです。 テストステロンを変異させてしまう酵素の量は体質や遺伝に関係するといわれており、「テストステロンをDHTへと変異させる酵素を作る指令を出している遺伝子が、X染色体の中にある」ということがドイツのボン大学の研究により明らかになりました。
なぜ母親から遺伝するのか?
遺伝子上、性別を定義するものは性染色体であり、女性はXX、男性はXYで表されます。通常、遺伝子は父親、母親からそれぞれ1つずつ受け継がれます。 男性の場合、母親からX染色体を、父親からY染色体を受け継ぐことでしか生まれません。 薄毛の原因となる遺伝子は、X染色体にあるため、薄毛は母親から遺伝すると考えられるのはそのためです。 女性ホルモンの影響により、薄毛遺伝子を持っていたとしても、女性は男性に比べて薄毛の症状が出にくいといわれています。 そのため、母親が薄毛ではないから大丈夫と安心はできません。母方の祖父が薄毛なら、薄毛の遺伝子を受け継いでいる可能性はかなり高いといえます。これを一世代飛び越えて発現するために「隔世遺伝」と呼びます。
薄毛になるかは環境も大切
しかし「遺伝だから、あきらめて薄毛になるしかない……」というわけでもありません。 テストステロンを変異させる酵素をおさえることができれば、薄毛の進行を遅らせることが可能です。 あきらめて放置してしまえば、自然に改善することはないでしょう。 男性型脱毛症の専門医を受診したり、頭皮の環境を整えることをおすすめします。
監修医師
親和クリニック医師
蔵持 大介 KENICHI TAKITA
監修医師
親和クリニック医師
蔵持 大介 KENICHI TAKITA
交通事故の怪我で眉毛部分を削らなくてはならなくなった男の子に、頭部の傷跡を切る際にでた髪の毛を眉毛に移植する施術をしたことをきっかけに自毛植毛に関心を持つ。
自毛植毛の専門医となってからは、患者さまの喜ぶ声をやりがいに、長い人生を満足できる計画性のある植毛デザインを提供する。