なんとなく信じられている、薄毛にまつわる様々な噂。
親和クリニックでは今回、そんなまことしやかに囁かれている薄毛に関する噂についてアンケートを実施。その中で多く挙がった噂の真偽を、親和クリニック総院長、音田が専門知識をもって解説します。正しい知識を身につけて、有効な薄毛対策を行いましょう。
全国の20歳〜60歳の働く男女、計1,106人を対象にしたインターネット調査で、以下の2項目について回答していただき、回答数が多かった事柄について解説します。
薄毛の進行に関する噂
(「薄毛が進行する」と思っている、もしくはそう聞いたことがある事柄)
薄毛の予防
(「薄毛を予防する」「髪が生える」と思っている、もしくは聞いたことがある事柄)
“円形”脱毛症と言っても、必ずしも円形の形で薄くなるというわけではありません。
ただ最新の円形脱毛症の考え方では、精神的ストレスは誘因の1つではあっても、主原因は体内で自己免疫異常が引き起こされていることにあるのではないかと考えられるようになってきています。また、肉体的ストレス、ウイルス感染なども誘因の一つと言われます。
円形脱毛症の治療は通常、皮膚科で行います。投薬治療などを行ってもおおむね3年以上治癒しない場合は自毛植毛手術の適用もありえます。
ちなみに、AGA(男性型脱毛症)に関して言うと、ストレスがAGAの進行を早めるという明確な根拠はありません。
AGA(男性型脱毛症)=AndroGeneticAlopeciaのGeneticとは、遺伝という意味です。ただ、単純に親が薄毛だと必ず薄毛になるというわけでもありませんので、あまり気にしすぎないほうがよろしいかと思います。
しかし遺伝的要因が強い症状であることは確かなので、生活改善や頭皮ケア等で改善するのは難しいと考えられます。内服・外用薬による進行抑制と、自毛植毛によるリカバリーが現実的な治療方法です。
男性ホルモンが関係するAGA(男性型脱毛症)はもちろん、老人性脱毛症という症状もあります。老人性脱毛症は主に高齢者に見られる症状で、皮下の幹細胞が加齢により髪の毛の元となる細胞を生み出す力を失い、頭髪全体的に髪が軟毛化(細くなること)して抜け落ちたりするものです。
比較的若年からでも発症し、前頭部と頭頂部中心に軟毛化が起こるAGA(男性型脱毛症)とは発症のパターンが異なります。
帽子やヘルメットで蒸れて髪が抜けるのでは?と心配される方もいるようですが、夜にシャンプーできちんと汗や脂汚れを落とせば影響はないでしょう。
逆に炎天下の直射日光など強い紫外線を浴び続けることは、髪や頭皮を痛める原因ですので、特に紫外線がきつい季節は帽子を被るなどの紫外線対策を行ったほうがよいでしょう。
また帽子とは関係ありませんが、女性の方などで髪を常に強く結んでいるという方は牽引性脱毛症といっておでこから薄毛になることがあるので、縛るのをお休みする日を設けるなど、少し気をつけることをおすすめします。
喫煙による有害物質が薄毛の進行に影響するといった記述がインターネット上には散見されますが、医学的には喫煙と薄毛を関連付ける根拠はありません。
喫煙率は年々減少傾向にありますが、それに比例して脱毛症が減っているというデータもありません。
ただ喫煙が体に害があるのは事実ですから、髪の毛にも何らかの悪影響があるといえばあるのかもしれません。
最近のパーマやカラーリングの施術は、昔に比べてあまり高熱を当てたり強い薬剤を使ったりすることがなくなったと聞きますが、それでもナチュラルな状態と比べるとどうしても髪を痛めるリスクは出てくるかと思います。
しかしパーマやカラーリングによって髪が多少傷んだとしても、それはあくまで生えている(頭皮の外に出ている)髪の毛の話であって、頭皮の中にある毛根まで傷んでしまうとは考えにくいです。
ただパーマやカラーリングが直ちに薄毛の原因になるとは思いませんが、繰り返しパーマやカラーリングをかけ続けることによってダメージヘアとなり、抜け毛よりも切れ毛が多くなり髪が減るリスクはあるかと思いますので、何事もほどほどがよろしいかと思います。
また、睡眠時間が短い人とそうでない人の毛量の変化を調べたという研究もありません。ただし睡眠時間が不足すると成長ホルモンが減少し、骨や皮膚など体のパーツが修復されにくくなるという理屈はありますから、多少は関係があるかもしれません。
しかし長く睡眠を取ったからといって薄毛にならないというような単純な話でもありません。成長ホルモンが分泌されるのは夜10時から深夜2時ごろと言われていますから、全身的な健康維持のためにも、夜ふかしは程々にするのが良いでしょう。
現代の日本人ほどまめに洗髪している民族は、世界的にも稀ではないでしょうか。その日本人も、昔はせいぜい週に2~3回のシャンプー、さらに昔なら月に1回くらいという時代もあったそうです。現代でも外国の山岳地帯などに住む民族などは、水が少ないですからほとんど洗髪することなく生涯を終える人たちもいるそうです。そんな彼らが皆薄毛かというと決してそんなことはありません。
ただ頭皮が老廃物やばい菌で汚れていると皮膚炎を起こす原因にもなります。皮膚炎による脱毛というものもありますから、頭皮の清潔を保つことは大切です。
しかし頭皮が汚れているから薄毛になるという考え方は違うと思います。そのような考え方は「薄毛」=「不潔」といった間違った認識や差別を生んでしまうので注意が必要です。
海藻が髪に良い、というのは昔から言われてきたことですね。恐らく海藻の色つやですとか、海藻でゆらゆらたなびいている姿がしなやかに生えている髪の毛を連想させ、海藻を食べることで「いかにも髪の毛が生えそうだ」というイメージができたのではないかと思います。
しかし医学的には海藻を食べると育毛・発毛に効果があるといった考え方はありません。
とはいえ海藻にはヨードなどの希少なミネラル、食物繊維といった身体に良い栄養素が豊富に含まれていますから、バランスよく摂取されることは良いことだと思います。
多くの育毛剤の効能は、血行促進・栄養補給といったものです。もし使っているうちに産毛が生えてきたと感じられたとしたら、それは育毛剤の効果によって既存毛が多少太くなったことによるものではないかと思います。
まだそれほど進行していない薄毛に対して、薄毛予防という点では一定の効果が見込めるものもあるでしょう。
しかし、髪の毛を多少太くするだけで髪の本数が増えるわけではありませんから、育毛剤だけで「無くなった髪の毛が復活」するような劇的な改善は難しいでしょう。
既に地肌が透けるくらいに進行した薄毛に対しては自毛植毛治療が最も効果的です。
多くの薄毛の原因であるAGA(男性型脱毛症)は、ホルモンと遺伝が原因です。
頭皮マッサージは頭皮の血行を良くすることに一定の効果はあるでしょうから、何もしないよりは何かしらの効果があるかもしれません。ただ血行を良くするだけなら入浴や運動をするほうが効率的ですし、マッサージを止めれば血行は元に戻ります。何時間もマッサージし続けるというのはあまり現実的でない気がします。
「頭皮が汚れていると薄毛になるって本当?」でも答えましたが、海外のある山岳民族などは日常遣いできる水が少なく、お湯を沸かすために燃やすものも少ない為、洗髪はおろか入浴もほとんどしないのだそうです。そんな彼らの頭髪がみな薄いかというとそうではありません。では不潔にしておけばよいのかというと当然そうではありませんから、適度な洗髪は必要でしょう。
洗髪は通常の頻度で、頭皮を指の腹でマッサージするつもりで洗いましょう。キレイにしようとあまり強く擦ったり爪を立てたりすると頭皮に傷がつき、そこからばい菌が入ると炎症の原因になりますので、気持ち良い程度の力加減が大切です。
現在、AGA(男性型脱毛症)に効果があると言われている医薬品は内服薬、外用薬ともに何種類かあり、フィナステリド内服薬、デュタステリド内服薬、ミノキシジル外用薬などがよく処方されます。
他にも塩化カルプロニウム外用薬、アデノシンなども一定の効果が認められており、日本皮膚科学会は「脱毛症診療ガイドライン」として、AGA(男性型脱毛症)における薄毛治療法ごとの推奨度を、以下の通り示しています。
推奨度 | 治療法 | 備考 | |
---|---|---|---|
A | 強く 勧める |
フィナステリドの 内服 |
女性型脱毛症はD |
デュタステリドの 内服 |
女性型脱毛症はD | ||
ミノキシジルの外用 | |||
B | 勧める | 自毛植毛術 | 女性型脱毛症はC1 |
LEDおよび低出力レーザー照射 | |||
アデノシンの外用 | 女性型脱毛症はC1 | ||
C1 | 行ってもよい | カルプロニウム塩化物の外用 | |
フラバノンの外用 | |||
サイトプリンおよびペンタデカンの外用 | |||
ケトコナゾールの 外用 |
|||
かつらの着用 | |||
C2 | 行わない方がよい | ビマトプロストおよびラタノプロストの外用 | |
成長因子導入および細胞移植療法 | |||
D | 行うべきではない | ミノキシジルの内服 | |
人工毛植毛術 |
日本皮膚科学会男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
一方、サプリメントは栄養補助剤です。髪の毛が抜けるほどの低栄養状態は、現代の日本ではあまりみられないと思います。普段の食事で栄養が十分に採れていれば必要ないということです。
サプリメントの項目でも回答しましたが、現代日本で髪の毛が抜けるほどの低栄養状態になることはあまり見られません。つまり、食生活くらいでは髪が生えるような変化は期待できないということですね。
ただし、栄養バランスのよい食事を摂ることは体のコンディションを整えるためには必須です。ぜひ健康的な食生活を意識してください。
シャンプーには色々な種類がありますが、普通に国内で製造・販売されているシャンプーでは新たに髪を生やす効果は期待できないと思います。しかし既に生えている髪の毛にハリやコシやツヤを持たせるという意味では、シャンプーの成分にも気を配ってみても良いかもしれません。
まずはノーマルな商品を選ぶのが良いでしょう。そして、それを基準に「もっとしっとり感があるものを」「もう少し軽めの質感のものを」などと調整してみてください。その結果、ご自身のお気に入りのシャンプーを見つけて頂ければ宜しいかと思います。
本気で薄毛治療をしたいのであれば、噂を頼りにあれこれ手を出すより、一度専門のクリニックを受診されることをお勧めします。薄毛の原因を見極めた上で、医学的に効果が認められている薬の処方や、根本的で安全な外科的治療である自毛植毛などを行えるクリニックがあります。
もちろんクリニックによる薄毛治療も万能ではありませんので、薄毛になる前の完璧な状態に戻せるかというと、そこまでは難しいと思います。
しかしかなりのレベルで薄毛感を解消できる位の治療が今は可能となっていますので、一度相談に行かれてみてはいかがでしょうか。
親和クリニックでは薬の処方はもちろん、特にメスを使わない自毛植毛を得意としています。ぜひ一度無料相談を受けてみてください。今回解説した髪にまつわる様々な疑問の他、どんな相談にもじっくりお答えします。
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