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自毛植毛の頭頂部への施術は難易度が高いって本当?
年代に関わらず、頭頂部の薄毛が気になっているという男性は多いもの。多くの方が、生活習慣の見直しはもちろんのこと、頭皮のマッサージや育毛剤の使用など、育毛のためにさまざまな努力を重ねているのではないでしょうか。
しかし、そんな努力も虚しく一向に髪が生えてくる気配はなし……という方も少なくありませんよね。そこで気になってくるのが、“植毛”です。
髪の成長を促すのではなく、最初から髪を生やしてしまおうという植毛手術。中でも特に注目を集めているのが、薄毛の気になる部分に自らの毛を植毛する“自毛植毛”です。
そんな夢のような技術ですが、実は頭頂部への植毛は難しいとされています。
今回は、気になる自毛植毛の技術とその効果、頭頂部への自毛植毛に伴うリスクについてご紹介いたします。
そもそも自毛植毛って?
自毛植毛とは、呼んで字のごとく“自らの毛を植毛する”薄毛対策の方法です。たくさん生えている後頭部や側頭部などの髪を、薄毛が気になる部分へと移植します。
自毛植毛の最大のメリットは、育毛剤の使用や投薬治療、かつらなどと違い、一度施術を行ってしまえばほとんどメンテナンスの必要がないということ。髪の毛を育てるための細胞ごと移植を行うため、一度抜けても再び髪の毛が生えてきてくれることです。
また、人工植毛と違って自分自身の細胞を移植するため、拒否反応などを起こす心配が少なく、植毛後の髪質に違和感を覚えることもありません。
自毛植毛後に薄毛になったら?
「せっかく植毛しても、再び薄毛が進行してしまうのでは?」と思われがちですが、その心配はほとんどないとされています。
薄毛(AGA)を招いてしまう主な原因は、男性ホルモンの影響によるもの。髪の毛を育てるための細胞(毛乳頭細胞)に男性ホルモン(テストステロン)が影響を及ぼすことで、薄毛が進行してしまうのです。これは、毛乳頭細胞に男性ホルモン受容体が存在するため。
後頭部や側頭部の毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体が少ないので、再びAGAによって薄毛が進行することはないと考えられています。
頭頂部への自毛植毛は難しい?
初期費用こそかかるものの、その後のメンテナンスや長期的な出費を考えると、メリットが多いとされる自毛植毛。しかし、頭頂部への自毛植毛を検討する場合は、いくつかの問題点を把握しておかなくてはなりません。
実は頭頂部への自毛植毛は、前髪の生え際を始めとする前頭部への施術に比べると難易度が高いとされているのです。
頭頂部への自毛植毛が難しいと言われている主な理由は、以下の2つです。
大量の髪を移植しなければならない
前頭部への移植の場合、薄毛が気になる部分に少量の髪の毛を移植すれば、髪を伸ばしたり、他の部分から寄せたりすることで比較的簡単にボリュームを出すことができます。
ところが頭頂部は、他の部分から寄せてきて頭皮を隠すことが難しいため、一度に大量の髪を移植しなくてはなりません。
一度に大量の髪を移植することを「メガセッション」と言い、高い技術が必要になります。
そのため、経験豊富な医師でないと頭頂部への自毛植毛の施術は難しいとされているのです。
つむじ周辺の自然毛の流れを作るのが難しい
頭頂部は、他の部分に比べて複雑な髪の生え方をしています。「つむじ」を中心として放射線状に生える毛を再現するためには、医師に高い技術力が求められます。
つむじの形成が上手くいかなければ、せっかく移植しても髪の毛にボリュームがなかったり、常に寝癖のような癖がついてしまったりと、違和感のある仕上がりになってしまうことに。
さらに、移植した細胞の定着率を高めるためには、短時間で施術を行わなければなりません。
髪全体のボリュームが少ない方も注意!
これは頭頂部に限った話ではありませんが、元々髪の毛が細く、全体のボリュームが少なく見える方の自毛植毛は難しいと言われています。
移植元となる側頭部や後頭部の髪の毛が少なければ、せっかく自毛植毛を行ってもあまりその効果を実感することができないのです。
頭頂部の自毛植毛にかかる費用と必要グラフト数の目安
頭頂部の植毛には大量の毛髪が必要だとご説明しましたが、具体的な費用・必要グラフト数はどれくらいなのでしょうか。ここでは「頭頂部・つむじ」「前頭部・頭頂部」「頭部全体」の3パターンの例について、大まかな費用・必要グラフト数をご紹介します。
頭頂部・つむじの修正
グラフト数の目安 | 500~1,000グラフト |
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移植毛髪本数 | 1,250~2,500本 |
施術費用 | 71.5万円~121万円(MIRAI法) 内訳:基本料金22万円+(990円×グラフト数) |
143万円~253万円(NC-MIRAI法) 内訳:基本料金33万円+(2,200円×グラフト数) |
前頭部・頭頂部の修正
グラフト数の目安 | 1,000~1,500グラフト |
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移植毛髪本数 | 2,500~3,750本 |
施術費用 | 121万円~170.5万円(MIRAI法) |
253万円~363万円(NC-MIRAI法) |
全体的な修正
グラフト数の目安 | 2,000~3,000グラフト |
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移植毛髪本数 | 5,000~7,500本 |
施術費用 | 220万円~297万円(MIRAI法) |
473万円~693万円(NC-MIRAI法) |
※表示価格は税込です。
頭頂部に移植した毛髪の生着率を上げるには?
前述したように大量の植毛が必要となる頭頂部ですが、毛髪がしっかり生着せず、すぐ抜け落ちてしまうようではせっかくの植毛も意味がありません。自毛植毛は一般的に高い生着率を示しますが、術後の過ごし方によっては生着率が下がることも充分考えられます。頭頂部の毛髪を生着率を上げるために自分でできるケア・対策についてご説明します。
頭皮環境を清潔に保つ
術後の洗髪は、頭皮や毛髪を傷つけるのではないか?という不安から、抵抗のある方が少なからずいらっしゃいます。確かに、洗髪の方法によっては頭皮を傷つけてしまうこともありますが、だからといって何日も頭を洗わないのはNGです。皮脂の詰まりや雑菌の繁殖による頭皮環境の悪化で、毛穴に炎症が起こるおそれがあるためです。毛穴の炎症は毛髪の成長を阻害する一因なので、術後も欠かさず洗髪を行い、頭皮を清潔に保ちましょう。ただし、施術当日は頭皮に傷や出血があるため洗髪はできません。翌日から可能になりますが、術後1週間は頭皮を傷つけないよう、やさしく洗うことを心がけてください。親和クリニックでは、手術翌日にスタッフによる洗髪サービスを実施しておりますので、洗髪が不安な方も安心して手術を受けていただけます
かゆみがあっても頭皮をかかない
術後、移植部分・ドナー部分はかさぶたになりやすく、かゆみを伴うことがあります。しかし、かゆいからと頭皮を掻いてしまうと、移植したグラフトがかさぶたごと剥がれてしまう危険性が高く、場合によっては流血することも考えられます。このような場合はお辛いかもしれませんが、かゆみはなるべく我慢しましょう。どうしても我慢できない時は、施術を受けたクリニックにご相談ください。
頭皮をマッサージする
移植したグラフトを生着させるには、毛髪に栄養を与えることが必要です。前述したように薄毛の大きな原因はDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンですが、頭皮の血行不良により必要な栄養分が行き渡らず、毛髪が薄くなってしまう方も少なくありません。術後の血行不良を防ぐ対策として、頭皮マッサージが有効です。血の巡りが良くなるだけでなく、毛髪の生着にも効果が期待できます。あまり強くマッサージすると頭皮が傷つくおそれがあるので、正しいマッサージ方法はクリニックへご相談ください。
生活習慣を見直す
偏った食生活・運動不足・睡眠不足・・・健康を害するこれらの習慣は、毛髪の成長にも悪影響を及ぼします。毎日一定の時間にバランスの良い食事を摂る・適度に運動する・睡眠をたっぷりとるこれらの習慣が、毛髪の健康的な成長には欠かせません。ただし、術後すぐの運動はNGです。血流が増え移植部分・ドナー部分から出血するおそれがあるためです。筋力トレーニングや球技などのスポーツは、最低でも1~2週間はお控えください。
頭頂部への自毛植毛を行うなら……
側頭部・後頭部の髪のボリュームに問題がなく、その難易度も把握したうえで、頭頂部への自毛植毛を行いたいという場合は、クリニック選びが非常に重要となります。
第一に、そのクリニックがメガセッションに対応しているか否かは絶対にチェックしておかなくてはなりません。一度に大量の髪をスピーディーに移植できるメガセッションは、頭頂部への自毛植毛で必須の技術です。
また、ウェブサイトなどを確認し、頭頂部への自毛植毛の症例が公開されているかどうかを見ておくこともおすすめします。
症例がしっかりと公開・更新されているようなら、多くの患者から支持され、確実に実績を残しているクリニックと考えて良いでしょう。
近年男性の薄毛治療として注目を集めている自毛植毛ですが、短い時間でつむじを再現するといった高度な能力が必要となるため、頭頂部への自毛植毛は難しいとされています。
頭頂部の薄毛にお悩みで自毛植毛を検討しているという方は、今回ご紹介したクリニック選びのポイントを参考に、自分の症例に合った腕の良い医師を探し出してみてくださいね。
他の治療と比べると?
薄毛治療には自毛植毛の他にも、人工毛植毛や内服薬による治療があります。このうち人工毛植毛は頭皮や毛髪への悪影響が大きいため、頭頂部に限らずお勧めできません。また、内服薬治療は効果は期待できますが、薬の服用を続けなければ毛根が再び抜け落ちてしまうリスクがあります。一度の治療で長期間効果を維持するには、自毛植毛が最適だと言えるでしょう。
監修医師
親和クリニック 総院長
音田 正光 MASAMITSU ONDA
監修医師
親和クリニック 総院長
音田 正光 MASAMITSU ONDA
大学を卒業後、一般外科、消化管外科、乳腺内分泌外科の臨床、および分子生物学、腫瘍学の研究に約十数年従事したのち、植毛手術を開始。
FUE手術の症例数は約2,000例超に上る。平成20年、採取に動力パンチを用いたFUE手術に関する論文を執筆し、この分野の先駆的報告となった。